ピーター・イベットスン 日本語訳

ジョージ・デュ・モリエイ
George du Maurier
鷺澤伸介:訳
(初稿 2020.8.1)
(最終改訂 2022.3.7)

ジョージ・デュ・モリエイ(1834-1896)の『ピーター・イベットスン』(英語)を翻訳しました。
(表記揺れ:ジョージ・デュ・モーリア、ジョージ・デュ・モーリエ、ジョージ・デュ・モリエ;『ピーター・イベットソン』)

底本

ピーター・イベットスン

ジョージ・デュ・モリエイ
……★挿絵の解像度を低く抑えてありますが、読むだけならこちらで十分です(約6MB)。
……★挿絵を拡大して細部まで見たいならこちら。ファイルサイズがかなり大きいので注意(約32MB)。

【注釈】
◎19世紀イギリスのイラストレーター・漫画家・小説家によって書かれた、「異様な夢」をめぐる小説(作者は『レベッカ』のダフニ・デュ・モリエイの祖父……ただし、ダフニが生まれたのは作者の死後である)。
●底本には、1891年刊の「挿絵入りの」初版を用いた(「挿絵のない」初版もある由)。挿絵もすべて作者自身が描いたものである。
――Kindleやネット上で入手できる安価な、あるいはフリーのテキストには、たいてい挿絵が付いていません。ペーパーバック類は確認していませんが、たぶん挿絵がないものが多いのは同じではないかと思われます。原文で読んでみようと思われる方はご注意を。
●挿絵もすべて掲載した。ただし、初版はやや印刷が不鮮明な箇所があるため、挿絵についてはほぼすべて1963年版を用いた(全部ではない)。
――1963年版は大きな判型の本なので、挿絵の掲載も有利になっています。なお、挿絵の掲載箇所は、底本(および1963年版)では対応する本文と少し離れてしまっている場合が多いのですけれども、本訳ではできるだけ対応する本文のすぐ近くに収めました。また、第二部終わりの方に、ピーターの詩の元になったレーテルの版画を載せておきました。これは底本にも1963年版にもないもので、参考資料となります。
●作者名と作品名は、我が国では「ジョージ・デュ・モーリエ」「ピーター・イベットン」と書かれることが多かった。しかし、いくつかの発音サイトで確認したところ、英語を母語とすると思われるどの話者による発音でも、Maurierは「モリエイ」、Ibbetsonは「イベットスン」としか聞こえないので、やや苦渋の決断ながら、あえてこれらの表記を採用することにした。
――外国の固有名詞については、日本国内で長年用いられたカタカナ表記を変えるのは、認識されなかったり検索でヒットしにくくなったりするため、あまり得策とは言えません。そもそも、他国でもネイティヴの発音に近づけて読まなければならないなどという決まりはないわけですし……(ネイティヴに近い発音で表記するとなると、例えば作曲家のドヴォルザークとかC++開発者のストラウストラップとかはいくらか面倒なことになりますし、作家のアンデルセンはかなり変えなければならなくなります)。とはいうものの、現在はネットの発達のおかげでせっかくネイティヴの発音が聞ける場合が多いのですから、日本での慣習的な読み方とあまりにもかけ離れていない限りは、やはりその発音を多少は反映させた方がよいと判断しました。このページには、一応表記揺れの方も併記しておきました。
●本書は英語で書かれているが、作者(および主人公)が英語とフランス語のバイリンガルであること、物語の舞台がフランスとイギリスで半々くらいになっていることなどのため、本文中にはフランス語が頻出する。フランス語以外も、ギリシャ語・ラテン語・ドイツ語・イタリア語などが英訳されずにそのままの形で出てくる箇所がある。訳文作成に当たっては、『孤独の井戸』同様、英語以外の部分にはそれと分かるようできるだけ原文も併記しておいたが、本作の場合はそれがかなり多いので、読みにくくなったかもしれない。
●解説に代えて、1963年版掲載の孫のダフニによる序文を翻訳して、巻末に載せた(この部分のみ十年留保対象)。
★ダンの『時間の実験』からの連想というわけでもないのですが、たまたま連続で「夢」をテーマにした本を翻訳することになりました。本作を原作とするアメリカ映画『永遠に愛せよ』(1935年11月封切、日本公開1936年2月)のおかげで、日本でもすでに戦前からまずまず知られていた小説であるにもかかわらず、これまで邦訳はなかったようですので、今回のこれがおそらく「本邦初訳」(w)となります。
★本書を訳しながら、内田善美さんの『星の時計のリデル』を幾度となく思い出しました。「異様な夢」を扱った物語は、今でこそたくさん存在するけれども、本作はその中で最も早い時期に成立した作品となります。ダフニが書いているように、「時代を先取り」した作品であると言ってよいと思います。

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