孤独の井戸 日本語訳

ラドクリフ・ホール
Radclyffe Hall
鷺澤伸介:訳
(初稿 2015.12.31)
(最終改訂 2023.8.9)

イギリスの女流作家ラドクリフ・ホール(1880-1943)の『孤独の井戸』(旧邦題『さびしさの泉』)(英語)を翻訳しました。

底本

孤独の井戸

ラドクリフ・ホール

【注釈】
◎同性愛者の女流作家によって書かれたレズビアン文学としてたいへん有名な小説。……本サイトでは、過去に日本語訳が出版された作品は原則として取り上げない方針であるが、この作品については、旧訳(『さびしさの泉』上下巻、大久保康雄・訳、新潮社、1952年刊)が現在では入手も閲覧も非常に困難になっているため、新訳を作って公開する意義はあると判断し、あえて取り上げた次第である。
・本作にはフランス語がかなり出てくるが、フランス語その他英語以外の部分には、それと分かるようにできるだけ原文も載せておいた。ただし、すべてそのようにしたわけではない。
・本作の中に二十回以上登場する invert あるいは inversion は、「倒錯者」「性的倒錯」などと訳した。ほかに pervert という語も一度だけ出てくるが、こちらは「変質者」と訳しておいた。本作では、前者は「先天的な同性愛者」の意味、後者は「退廃的な変態趣味に走った者」くらいの意味で使われている。
・題名の訳し方は、旧訳のままにすべきか否かで悩んだが、ほぼ直訳である『孤独の井戸』としておいた。ホールの二番目のパートナーであるウーナ・トゥローブリッジ(Troubridgeは「トルー」ブリッジではなく「トゥロー」ブリッジと発音する由)によれば、題名を付けるセンスがあまりなかったホールの小説の題名の多くは彼女の命名によるものだそうで、この作品もそうなのだが、彼女がなぜこの題名を思いついたのか、どこから取ったのかは不明である。小説本文中に The Well of Loneliness という語句が一度も見えず、文脈から判断することもできないため、題名の訳し方が難しいケースである。

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